ある春の日、庭に出ると鳥がいた。渡り鳥のようだが種類はわからない。脚をケガしてるらしく動けないでいる。近所の猫に襲われないように部屋に入れて、脚の傷を消毒し添え木をあててやった。餌を与えるとよく食べる。きれいな声で鳴いた。
一週間が過ぎ、鳥は回復したらしく部屋の中を動き回る。窓を開けてやると元気に大空に飛び立っていった。
次の年の春、朝起きて庭を見ると鳥のフンだらけになっていた。そういえばベッドの中で、聞き覚えのある鳴き声を聞いた気がする。去年のあの鳥が群れでやって来たらしい。それにしてもずいぶんな仕打ちだなあ。がっかりだ。すると強い雨が降り始め、フンはすっかり見えなくなった。
数日後、フンがあった場所からたくさんの芽が生えてきた。その年の夏、あたしの家の庭は見たことのない美しい花々で満たされた。