「彼女はサイエンス」設定 作:まりえしーる 発表日: 2005/03/16(Wed) 10:47

主人公・百田畑影未(ひゃくでんぱた かげみ)は国破山河在大学(コパ・サンガーリだいがく)生物工学部の学生。大宅助六教授のゼミで動物実験の日々を送る、化粧・服装・入浴に関心を示さない理系女。抜刀術「基底文脈自由文法流」の師範を祖父に持ち、肥後の守からレーザーメスまで、ありとあらゆる刃物の扱いのコツを瞬時に体得してしまう天性の刃物使い「ボーン・トゥ・カット」。対象の内部構造を破壊しない切断ポイントを一瞬で見抜き躊躇無く解体する解剖の天才。高価な日本刀購入資金作りのため、イマージュの下着をつけてランパブでバイトした経験あり。しかし「アタマがくさい」との理由でクビになったことからビジネスマンを極端に嫌う性格に。なんで。

大宅助六教授の研究テーマは「不老不死」。渋い老人クリント・イーストウッドのファンである教授は、イーストウッドに永遠に映画を撮り続けられる肉体をプレゼントすることを夢見るマッド・サイエンティスト。

助六教授はガン細胞のメカニズムを応用した「バックアップ細胞による損傷箇所のオート・リカバリーであんしん不老不死ライフ」という理論を打ち立て、ゼミの学生たちに遺伝子操作実験を命じ「バックアップ細胞」の創造を目指す。

ゼミの主力メンバーは影未と「実験の娘」と呼ばれる理系三姉妹。冷徹な理論派の長女さなぎ・霊感で実験結果を予見する次女むじな・ドジで泣き虫、でも頑張る妹タイプというほとんど何のためにいるのかわからないヲタ需要狙いの三女かすよ。

この三姉妹はとんでもない出生の秘密を持つ。彼女たちは、助六教授が採取した人気声優・三千石琴綾(さんぜんごく ことあや)の頭髪から生み出されたクローン、しかも彼女たちの遺伝子は「萌え喚起配列操作A・B・C」なる処理が施されていた。三姉妹のキャラクターの差異は、教授の好みが反映された三種の操作術式A・B・Cの違いによるもの。

助六教授の研究に目をつけたのは軍需産業界最大手のハイキンズ社会長ロジャー・T。彼は戦争が外交手段のひとつに過ぎなかった時代の再現を目論んでいる。彼の提案は、現代にマッチした「地球に優しい戦争」。核や生物化学兵器を使わない不死兵士たちの銃撃戦スタイルを世界各国に売るというビジネス・モデルだ。ロジャー・Tは助六教授に開発資金を提供しているが、やがて生まれる成果を根こそぎ奪い取るつもりである。

実はコパ・サンガーリ大学は新興宗教団体「ターンアラウンドフレーズ」に支配されていた。教祖「黒いデーヤモンド」は助六ゼミにスパイ学生2名を送り、研究の進捗を逐一報告させている。彼は自身が不死者となるために、助六教授の研究をパクリつつ独自の開発も進める研究機関「ビッチェス・ブリュー」を設立していた。

ある夜、その日の研究を終えた影未と三姉妹はいつもの通りビーカーで酒盛りをしていた。酒癖の悪い影未は研究室にある様々な化合物を使ってバカなカクテルを作り始める。ペンタボラン配合の自然発火するギムレット、ただし死ぬほどくさい、とか。そんなバカ遊びの中で、シロート科学もののパターンに従い、影未は偶然「バックアップ細胞」創造のヒントを発見してしまう。

アタマを冷やして検証しようと外に出た影未は、偶然スパイ学生たちの会話を聞いてしまい、自分がどんなフレームの中に置かれているのかを知る。疑念を抱いた影未は「バックアップ細胞創造法発見」を伏せておくことを決意するが、理系の魂を抑えきれず単独でこっそり実験を始める。しかし影未の変化を見逃すような「実験の娘」たちではなかった…。


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